伝通院の千姫を見に行った五人
どんな伝承か
小石川の伝通院に千姫の幽霊が出るという噂を聞き、近所の飲み仲間五人ほどで見物に出かけた。落語家仲間の春風亭愛橋も加わっていた。夜の二時ごろまで飲み歩いたあと、寺の塀を乗り越えて忍び込む。境内は真っ暗で、歩くうちに人数が一人増えているような気がしたという。千姫の墓のそばで白いものが動くのを見たと言っていた愛橋は、それから原因の分からない高熱を出し、三か月も入院した。幽霊を見た人の半分は不幸な目に遭うものらしい、と語り手は結んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。