溺死した幾太郎の隣家再生
どんな伝承か
島根県安濃郡刺鹿村大字西川の県道沿いに、煮売業と傘張職を兼ねる生越某の夫婦がいた。不妊のため他家から幾太郎という少年を養子にもらい可愛がっていたが、明治二十三年、幾太郎は十四歳のとき裏の灌漑用の池に落ちて溺死した。幾太郎は間もなく母親の夢枕に立ち、近いうちに生まれ代わるから着物や手回り品を残しておいてくれと告げた。一年ほど後、隣家の木賃宿の女房が男児を生む。顔は幾太郎の幼時に瓜二つで、旅の絵師がつけた名は柳太郎、幾太郎の戒名は柳流童子であった。柳太郎は口がきけるようになると、仏壇の前で柳流童子の位牌を指さし「アッコ、アッコ」と連呼したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の世界 ― 心霊科学入門(板谷樹・宮沢虎雄・1971年(昭和46年))
『霊魂の世界――心霊科学入門』は、板谷樹と宮沢虎雄が昭和四十六年に著した心霊科学の入門書である。古代の霊魂観や内外の幽霊の記録に始まり、ハイズビル事件と英米の心霊研究学会の創立、霊視・霊言などの精神的現象、物質化や心霊写真などの物理的現象、心霊治療、死と再生までを、日本心霊科学協会での実験や勝五郎再生の現地調査を交えて述べる。全十二章からなり、昭和四十二年に徳間書店から出た同題の本に筆を加え、同協会が自費出版したものである。