勝命橋に立ちはだかる青坊主
どんな伝承か
日開谷川に架かる勝命橋は、大雨のたびに流される木橋だったため、昭和十一年から十二年にかけてコンクリート橋に架け替えられた。その工事中、橋桁の一部が落ちて、働いていた若者が下敷きになって死に、それ以来若者の亡霊が出るといわれた。雨上がりに霧の立ちこめる闇夜、橋を渡る人は何度も青坊主に出会ったという。阿波町の栗栖兵右衛門が確かめに自転車で出かけると、橋が激しく揺れ、二十歳ほどの青坊主が橋の真ん中に立ちはだかったので、一目散に逃げ帰った。
原典より
一寸先も見えぬ真暗な夜、橋を渡る人たちは、何回となくこの橋上で青坊主に会ったという。—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。