師範学校寄宿舎の枕返し
どんな伝承か
徳島県師範学校が南常三島町に移ってしばらくのち、寄宿舎の南寮階下の第三室で眠ると、朝には枕が必ず反対向きになっているという噂が立った。笑い飛ばした体操の先生が泊まってみると、枕どころか自分が寝台の下に長々と寝そべっていたため、その部屋は病室に変えられた。敷地はもと藩の中老山崎氏の屋敷跡で、下女を井戸に切り込んだという伝えがあり、それが怪談の元だといわれた。大正五、六年ごろには不寝番の前に宙を動く長靴が立ちふさがり、第三小団の二室では夜中に天井から水が飛んで銃架の小銃が次々に倒れ、ついに空き部屋になったという。
原典より
つまり東マクラに寝ると西マクラに、西マクラでねると東マクラにというわけである。—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。