おはつと痴情関係にあり
どんな伝承か
おはつ殺しの捜査で、有力な容疑者としてある木挽が浮かんだ。一年ほど前に女房を亡くし、猟場の寂しさから小料理屋に通ううちおはつと深間になり夫婦になる話まで出たが、おはつが避けはじめたので時々怒って暴れており、殺されたとき着ていた着物もその木挽が買ってやったものと分かった。警察は事件から四日目の夕方、木挽を小見川分署へ拘引する。木挽は否認したが一人暮らしで不在証明が立てられず、責め立てられて自白した。ところが八日市場支部検事局で調べ直すと、押収した小刀に血痕がなく、再鑑定でおはつの致命傷は別にあると判明して嫌疑は晴れた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集・大正~昭和初期(推定))
本書『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎による幕末から昭和初期にかけての日本各地の怪談・奇談を集成した作品である。明治維新期の松木事件から関東の連続殺人鬼事件まで、実地取材に基づく歴史的事件の記録と、民間に伝わる幽霊譚・怪異現象が混在している。特徴は、単なる怪談の創作ではなく、実在の地名・人物・事件を背景に、社会的矛盾や人間の怨恨が生み出す超自然現象を描く点にある。