商いをする石毛とく方へ黒い頭巾で顔を包み白刃を逆手にした背丈…
どんな伝承か
大正四年七月頃、香取郡八都村田部の道沿いで商いをしていた石毛とく方にも、彌助方を襲ったのと同じとみられる兇賊が押し入った。黒い頭巾で顔を包み、閉粉を塗ったような顔で、白刃を逆手に光らせた背丈の低い男が「金を出せ」と脅すと、とくは有り金十数円(一円札と二円札の混じったもの)を差し出し、兇賊は無言でそれを受け取って立ち去ったという強盗事件であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集・大正~昭和初期(推定))
本書『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎による幕末から昭和初期にかけての日本各地の怪談・奇談を集成した作品である。明治維新期の松木事件から関東の連続殺人鬼事件まで、実地取材に基づく歴史的事件の記録と、民間に伝わる幽霊譚・怪異現象が混在している。特徴は、単なる怪談の創作ではなく、実在の地名・人物・事件を背景に、社会的矛盾や人間の怨恨が生み出す超自然現象を描く点にある。