清滝川で鵜飼を真似た三匹の猿
どんな伝承か
文覚上人がある日、清滝川のほとりを通ると、河原に三匹の猿がいて、一匹が岩の上に仰向けに寝転び、残る二匹は遠ざかった。物陰から見ていると、鳥が一羽飛んで来て寝た猿の足をつつき、動かないので死んでいると見て目をえぐろうとした。その途端、猿は鳥の足をつかんで起き上がり、戻ってきた二匹が長い葛で足を繋いだ。猿たちは鳥を水に投げ入れ、一匹が葛の端を持ち、二匹が上流で魚を追い立てたが、水に慣れない鳥は溺れ死に、猿は鳥を捨てて山へ去った。人が鵜を使うのを見て真似たのだろうと、文覚は目の当たりに見た不思議として語ったという。
原典より
すると遠退いていた二疋の猿が長い葛を持って出て来てその足を繋いだ。—— 日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年))
『日本の怪談』は、田中貢太郎の怪談を昭和四十五年桃源社刊『日本怪談全集』から抜き出した文庫本で、昭和六十年十二月に河出書房新社から発行された。「宝蔵の短刀」「八人みさきの話」など土佐の城下や村の話をはじめ、江戸・京・吉野などを舞台にした幽霊・狐狸・猿・魔物の話を、会話の多い語り口で収める。二十七篇の後に尾崎秀樹の解説を付し、高知に生まれた作者の生涯と怪談・妖異譚への傾倒をたどっている。