茶店で皿を叩き落とす少女
どんな伝承か
甚六は岩坂の宿を朝早く出て帰りかけたが、坂下という小村まで来ると喉が渇き、路傍の出茶屋に入った。好物の冷麦を頼んで皿を持ち上げ、口に運ぼうとすると、激しく叩かれたように皿が膳の上に落ちた。持ち直しても、力を入れて高く持ち上げても同じで、とうとう皿は土間に落ちて真二つに割れた。手を握ったり開いたりしてみたが異常はない。すると茶屋の主が、あなたの傍にいる子どもが皿を叩き落としているのだ、右側に十二、三の女の子がいるがお伴さんではないかと言った。甚六は顔を蒼くして震えた。やがて主が「小女がいなくなった」と言い、汲んでくれた茶を飲んで、ようやく人心地がついた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定))
宝蔵の短刀=怨霊と祟り(日本の怪談)/幽霊の自筆・船頭の霊/義人の姿と因果応報/土佐・各地の怪異/田中貢太郎の怪談