久松警察署の宿直室に立つ女
どんな伝承か
日本橋の久松警察署では、高等係の宿直室に若い女が夜ごと夢枕へ立つという噂が広まった。発端は転任してきた田中巡査部長で、三晩続けて同じ若い女の夢を見たと同僚に漏らしたところ、自分も見た、こちらも見たと声が上がり大騒ぎになった。関東大震災のとき、この部屋は負傷者の収容にあてられ、息を引き取った若い女もいたので、その霊が礼に訪れるのだと説く者もいた。女は微笑んで消えるといい、寝台の向きを変えても止まなかった。腕自慢の警官たちも気味悪がり、署長の手で祓いを行うことになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話