音では説明できない病室の光景
どんな伝承か
久保田恵子さんの体験のうち、生まれた赤ん坊が男の子だったことや、手術室の医師たちの心の中が見えたことは、耳から入った情報をもとに組み立てた像だと解釈する余地もある。実際、医師である夫はこの話を聞いてそう説明し、大したことではないと受け流したという。しかし、手術室から離れた病室で娘が待っていた様子や、隣家の寺田夫人がすしを用意して駆けつけたことは、聞こえた音からは説明がつかない。著者は、手術室から離れた待合室の様子を見て事実と一致したヴィーの体験にもよく似ていると指摘し、脳内現象説ですべてを片づけるのは無理があるのではないかと問いかける。
原典より
しかし、手術室から離れた病室で娘が待っていた様子とか、寺田夫人がおすしを用意してかけつけてくれた話などは、聴覚情報では説明できない。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。