地蔵に救われ棺で蘇った法師
どんな伝承か
鎌倉時代の宇治拾遺物語に載る話である。因幡国高草郡の国隆寺で地蔵菩薩の像を彫らせていたとき、寺の別当は妻に逃げられてその行方探しに追われ、仏師たちは食べる物にも困った。これを助けたのが寺で雑役を務める身分の低い専当法師だった。やがて法師は病で死んだが、妻子は棺を葬らずに置いておいた。六日目の昼過ぎに棺が動き、開けると法師は息を吹き返して冥途の話をした。二人の大きな鬼に追い立てられて広い野を行くと、白衣の僧が現れ、自分は地蔵菩薩で、この者は仏師を養って我が像を造らせた恩人だから許せと鬼に命じ、道を教えて帰してくれたという。
原典より
妻子、かなしみ泣きて、棺にいれながら、捨てずして置きて、なほこれを見るに、死にて六日といふ日の未(ひつじ)の時ばかりに、にはかにこの棺はたらく。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。