竜宮の門で追い越された女
どんな伝承か
『遠野物語拾遺』には、佐々木鏡石の友人だという人物の話が載っている。大病であるとき息を引き取ったその人は、絵に描かれた竜宮のような門を見つけ、急いで駆け寄った。ところが門番らしい者に阻まれ、どうしても中へ入れてもらえない。そこへ近所の女を乗せた車がすさまじい勢いで走ってきて、そのまま門をくぐり抜けていった。悔しがって見ているうちに、周りの者に呼び戻されて息を吹き返したという。あとで聞くと、車で通り過ぎた女はちょうどその時刻に死んでいた。柳田国男が鏡石から聞き書きした話だが、著者は同時刻の符合をそのまま信じるわけにはいかないとみている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。