一寸法師となり笹舟で流される夢
どんな伝承か
被爆して陸軍病院に入院していた松尾公三さんは、高熱で脳症を起こした翌朝、注射を打たれたところで意識を失い、七時間にわたって生死の境をさまよった。その間に三つの夢を見た。友人が深い井戸から上がれずに力尽き、従兄弟が戦国の侍に首をはねられ、兄弟が難破した船から海に沈んでいく場面を、すぐそばで第三者として眺めた。実際には三人とも生きていた。続いて自分が一寸法師ほどに小さくなり、笹舟で川を流されて海へ出かかる。通りかかった人に必死で叫ぶがなかなか気づかれず、ようやく差し伸べられた手にも届かないまま、意識が戻ったという。
原典より
私はそのとき、ちょうど一寸法師のように小さくなり、小さい笹舟に乗って、岸にススキの生えた川を流されており、その川がまさに大きい海に流れこまんとする所まで流されていた。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。