みきに降った天の将軍
どんな伝承か
天保九年十月二十四日、大和国庄屋敷村(現奈良県天理市三島)の中山家。前夜からの一家発病を祈祷するため山伏市兵衛が呼ばれたが、加持台の少女霊媒おそよが不在だった。そこで主婦みき自ら加持台を申し出て、井戸端で冷水を浴び浄衣に着替えて神迎えの座に着いた。市兵衛が呪文「ノーマクサンダー…アビラウンケン…」を唱えると、みきは恍惚境に入り、手に持つ御幣が急に上下左右に揺れ始めた。神霊降臨と見た市兵衛がさらに祈祷すると、パッと音がして御幣の振動が止み、みきの両眼が日月の如く輝いた。
原典より
『元の神、実の神じゃ。世界一列を助けるため、旬刻限の理を以って、今ここに天降った』—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。