みきの身体を社と求めた天の将軍
どんな伝承か
天の将軍を名乗る神に妻の身体を差し出せと迫られた善兵衛は、四人の子の母で乳飲み子もいるからと退散を願ったが、神は不承知ならこの家を粉もないようにすると脅した。知らせを聞いた親類や知人、みきの父正信、別所村の庄屋荻村伊兵衛らも駆けつけ、百姓家に偉い神が降りては迷惑だと口々に願ったが、神は屋敷の因縁、魂の因縁、旬刻限の理によって降ったのだから決して退かないと言い張った。狐狸の仕業だと見た人々は二十五日の朝、脇差を抜き御幣を振りかざして威したが効き目はなく、みきは三日三晩、何も口にせず神の言葉を伝え続けた。
原典より
『この屋敷の因縁、魂の因縁、旬刻限の理をもって、ここへ天降ったのじゃ。いかなることがあっても退散しないぞよ』—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。