伊蔵の手で開いた日の丸の扇
どんな伝承か
明治十九年の秋、最後の拘留のあと健康を崩した教祖みきは、年が明けた明治二十年の旧暦一月二十五日の午前二時に容態が急変した。飯降伊蔵を通じて神に伺うと、扉を開いて地を平らそうか、閉めて平らそうかという謎めいた神示が下った。門弟たちは意味をつかめなかったが、教祖は日ごろ道を開けと説いていたので開く方がよかろうと相談し、中山真之亮が一同を代表して、扉を開いてならしてほしいと答えた。すると伊蔵が持っていた伺い用の日の丸の扇がぱっと開き、何もかも引き寄せて扉を開く、ころりと変わるぞという勇ましい言葉が飛び出したという。
原典より
『どうぞ扉を開いてろくじにならし下されたい』と申し上げた。—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。