薪を使わず湧く風呂と甘酒
どんな伝承か
小竹繁井の直話である。不思議なのは年恵の行った、お手かざしという行法であった。風呂に水を汲み込んでお手かざしをやると、少しも薪炭を用いずに風呂の水がたちまち熱くなる。繁井はよくこのお手かざしの風呂に入ったものだという。甘酒などもこのお手かざしですぐに出来た。空瓶が二本あれば美味しい甘酒がいくらでも戴け、その結構な味は今でも忘れられないという。そのくせ年恵自身は飲食物の不用な身であるから、そうしたものは一切他人に施すだけであった。神の音楽は最初は遠方に聞こえ、だんだん接近して遂に年恵の部屋の内部に聞こえる。信者たちはそんな場合には部屋の方に向かって礼拝したものだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)