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三百人が暮らした天王寺のミカン山

所在地大阪府大阪市阿倍野区旭町一丁目(ミカン山)
年代大正時代半ば
登場乞食たち三百人、清水精一、宮本常一、ミカン山で暮らした貧民救済運動家・『大地に生きる』著者、『山に生きる人びと』で集住地を記した民俗学者
出典村の奇譚 ― 里の遺風

どんな伝承か

阿倍野区旭町一丁目、いまは大阪市立大学医学部附属病院が建つ雑木の丘は、かつてミカン山と呼ばれ、天幕を張って暮らす人びとの集まる場所としては最大のものだった。もとは東成郡天王寺村に属したので、天王寺のミカン山とも言われた。大正の半ばすぎまで、ここには三百人ほどが住んでいたという。自らこのテント村で暮らした清水精一の『大地に生きる』によれば、粗い布を継ぎ合わせた十二畳ほどの小屋に十数人が寝起きし、中央の炉に吊るした一つの鍋で飯も菜も煮れば顔も洗い、汚れ物さえ洗った。浄と穢が分かたれぬ暮らしだったと記されている。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))

『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。

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