前世はアイヌの酋長と安禄山
どんな伝承か
読売新聞の婦人部長から、前世を見てくれるおもしろいバアサンがいると電話で誘われ、著者は銀座裏の料亭の一室で、部長とヤジウマの友人を交えて会合した。バアサンは人と向かって話をしていると、頭の上に天然色のテレビジョンのようにその人の前世の姿が見え、一生の事象が早送りで映されていくのだという。著者の前世はアイヌの酋長のひとり息子で、二十三歳のとき流れ矢に当たって死んだ。さらにそのまた前の前世として、ゲンソウという王様の臣下のいちばんえらい人で反乱をくわだてていると語ると、中国史にくわしい友人が『そりゃ安禄山じゃないか』と口をはさんだ。バアサンは歴史を何も知らないと答えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。