市長が言い当てた大和平野の地下湖
どんな伝承か
奈良市は長いあいだ水不足に悩み、夏になると二階より上の蛇口からは水が出ず、給水車を出すのが毎年のことだった。市長選の前に西部の郊外を見て回った鍵田忠三郎は、家が次々に建つのに水のあてがないと知り、立候補をやめようかと思ったほどだった。就任すると自らの超能力で水を探し、大和平野の地下には浜名湖ほどの湖が眠っていると言い出した。誰も本気にしなかったが、京大の松尾新一郎教授に調べてもらうと、地下二百七十から四百五十メートルの岩盤の上に、奈良市に降った雨がたまった巨大な地底湖が見つかったという。
原典より
それを強引に押し切って、京大の松尾新一郎教授に調査を委嘱すると、まさしく地底湖が存在していたのである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。