客の家や軍港を言い当てた遠距離透視
どんな伝承か
三田光一の興行では、物品透視の後に遠距離透視を見せるのが常だった。客に自宅の住所や家名、店の名をカードに書かせ、それを見て目を閉じると、舞台を歩き回ったり人に尋ねる仕草をしたりした末に、その家の様子から電話の有無まで言い当てたという。『芸備日日新聞』の記事では、客の求めに応じて比治山陸軍墓地の様子と墓の銘、墓前に散らばる名刺の主、ある邸宅の造り、呉港に停泊する潜航水雷母艦の名と位置、高等師範学校の門番室の火鉢や音楽室のオルガンの音まで語った。呉へ行くのに飛行機の操縦をまねる姿も見せ、覚めた後には呉港の図面まで描いたという。
原典より
その末、正気に戻って、その家の模様から電話まで的中させるのである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。