市ヶ谷総監室での三島の自裁
どんな伝承か
著者は、昭和四十五年十一月二十五日に市ヶ谷の自衛隊総監室で行われた三島由紀夫の自裁を、武士道の古式にのっとった憂国の死として捉える。切腹し、介錯を受け、介錯した若い信頼する青年が後を追ったその一件は、事件というより人間劇の見事な様式化ですらあったという。三島は二・二六事件で処刑された磯部浅一の獄中手記に強く惹かれ、無意識と意識のあいだを往復しながら三十年、その事件と共にあったと書いていた。著者は、三島の魂が帰る場所は自衛隊ではなく、殺された青年将校たちの怨念の中だろうと結ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)