役人を打ちすえた村々の踊り
どんな伝承か
年が明けた一月、それまで踊りのなかった北郷・西郷の末や、広野より北の村々で、休みなく踊る状態になった。三田藩は鎮静のため地廻り役人二人を差し向けたが、村人二百人余りが役人の手足を押さえて田の中へ引きずり込み、打ちすえてしまう。翌日には村人二人が牢に入れられ、ほかの村々からも一人、二人と入牢する者が出た。物価の高騰で貧しい層の暮らしが行き詰まり、藩も去就に迷って揺れていた最中のことで、民衆は権力に対して強い姿勢を見せたのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか(高木俊輔)
『ええじゃないか』は、幕末維新期の民衆運動を研究してきた高木俊輔が、慶応三年から翌年にかけて広がった「お札降り」と「ええじゃないか」の乱舞を各地の史料からたどった歴史書である。三河吉田での初出から東海道、甲斐、江戸、信濃、伊勢、京都、大坂、中国、淡路、四国まで、日記や記録に残る降札と踊りを国ごとに述べる。概観と東国・西国の四章に続く終章で降札の作為者やおかげ参り、世直しとの関わりを論じ、参考文献を付す。