座敷ワラシが金持ちの家に出る訳
どんな伝承か
柳田國男が取捨選択を施した『遠野物語』をテキストにしている限り、民話の背後に隠された真実を探るのは難しいと著者は説く。『遠野物語拾遺』にも、綾織村砂子沢の多左衛門どんの家に元御姫様の座敷ワラシがいて、いなくなったら貧乏になった話、遠野の町の村兵という家の御蔵ボッコが籾殻に小さな児の足跡を残した話、附馬牛村の某家に紅い振袖の女の児が現れ、踊りながら下窪という家に入って両家の運が入れ替わった話など、可愛らしいものばかりが並ぶ。著者は、金持ちの家だからこそ不気味なザシキワラシが現れるのであり、その底辺には貧しい人々の妬みと諦めがあると読む。
原典より
柳田國男によって取捨選択が施された『遠野物語』をテキストにしている限り、民話の背後に隠されている真実を探るのは極めてむずかしい。—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。