江戸へ急ぐ絹商人が見た青く光る黒気
どんな伝承か
甲州の絹の買い付け人、茂助の話。安政二年十月二日、中山道の熊谷宿を発って江戸へ急いだが、その日はなぜか道がはかどらず、浦和宿で日が暮れた。商いの都合で先を急ぎ、蕨宿と板橋を過ぎて鶏声が凹まで来たのは夜十時ごろだった。そのとき北東から南へ、黒い気の中に青く光るものが烈風のような響きをたてて飛び去った。見ているうちに激しい揺れの音が起こり、茂助は恐ろしさに地に倒れ伏した。大地震で近くの家や蔵が崩れ落ち、生きた心地もしなかったという。浅草でも同じようなものが空を通るのを見た人がいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本のUFO(池田隆雄・UFO・未確認現象・1974年(昭和49年))
『日本のUFO』は、池田隆雄が昭和四十九年に著した、日本国内のUFO目撃事例の研究書である。古記録に残る怪しい星や安政の江戸大地震で目撃された光り物から、昭和二十年代以降の各地の目撃、着陸痕、レーダー捕捉や機上目撃までを、国内のUFO研究団体の会誌や新聞記事をもとに集める。編隊飛行、形態、色と舷窓、運動、知的な行動、天体との関係、着陸痕、海上の活動、レーダーと機上目撃の章に事例を分類し、巻末に参考資料とあとがきを置く。