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天狗と祀られた江戸の碁打ち

所在地神奈川県足柄下郡箱根町
年代寛保末頃
登場医師
出典迷信の諸相・宗教の真相

どんな伝承か

江戸の商家の一人息子が、箱根湯本で湯治をしていたある日、地獄見物に出かけて山道に迷い込んだ。日が暮れる中で辿り着いた山里の家に一夜の宿を借りると、そこで碁を打つことになり、居合わせた誰にも負けず、招かれてやってきた近在無双の碁の名人にまで連戦連勝してしまう。夜更けに宿を借り、翌日は湯本まで送り届けられた。翌年、再びその場所を訪れようとすると、村では「碁の名人の高慢を挫くために天狗が人に化けて現れた」という噂が広まっており、勝負ごとの祈願のために碁盤が祀られていた。自分がその天狗と噂されていたことを知った若者は、何も言わずにその場を去ったという。

原典より

その節人々申すよう、これは全くただごとならず、先生余り高慢なるゆえに、かれが鼻を挫がんと、天狗さまの人に化けて来られし者なるべしとの評判にてありし。—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))

『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。

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