箱根湯治中の江戸商家の息子が地獄見物に出て道に迷い
どんな伝承か
江戸の商家の一人息子が、箱根湯本で湯治をしていたある日、地獄見物に出かけて山道に迷い込んだ。日が暮れる中で辿り着いた山里の家に一夜の宿を借りると、そこで碁を打つことになり、居合わせた誰にも負けず、招かれてやってきた近在無双の碁の名人にまで連戦連勝してしまう。夜更けに宿を借り、翌日は湯本まで送り届けられた。翌年、再びその場所を訪れようとすると、村では「碁の名人の高慢を挫くために天狗が人に化けて現れた」という噂が広まっており、勝負ごとの祈願のために碁盤が祀られていた。自分がその天狗と噂されていたことを知った若者は、何も言わずにその場を去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。