信仰を強いる姑を絞め殺した嫁
どんな伝承か
ある会の信仰を強いる姑と、これに反対する夫との板ばさみに悩んだ嫁が、ついに姑を絞殺した仙台市大野田の尊属殺人事件が、昭和三三年一月に起きた。著者はこれを、殺人教として事件化したものの一例としてあげている。同じころには、オシラ神のお告げを信じて息子夫婦を殺傷した青森県東津軽郡の事件、疫痢の子の手あてを拒んで死亡させた群馬県多野郡の事件、娘に汚れた空気を吸わせまいと絞殺した京都の和楽事件、女祈禱師が神託によって農薬を信者の口から注いで殺した大阪府南河内郡のホリドール事件などが相次いだ。これらは筆者のとぼしいメモを拾ったにすぎず、けっしてこれで全部ではないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。