事例8:昭和二十五、六年頃の採訪と思
どんな伝承か
昭和二十五、六年頃、神奈川県三浦市南下浦町の裕福な家で行われていた風習。大晦日の夕暮れ時になると、当主が羽織袴姿で家の近くの辻まで行き、そこから自分の家を訪ねるという儀式があった。妻が酒肴でもてなし、一夜の宿を提供していたという。この行為には特別な意味があったとみられるが、詳細は不明である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に著した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と各地の採訪記録の事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、五章は書き下ろしで、章ごとに注を付す。