和尚の謎かけ買物と発句会
どんな伝承か
ある山寺に、和尚に負けまいと何でも知ったかぶりをする下男がいた。ある日和尚は、町で一石六斗の鳥、十里の魚、天目に錦の酒を買ってこいと言いつけた。下男は町の店を尋ね回ったが、そんな品はどこにもない。思い悩んでいると和尚たちが通りかかり、在郷の発句会へ行くという。後について行くと立派な家で御馳走が出て句会が始まり、下男は話の切れ目に例の品のことを尋ねた。和尚たちは笑って、一石六斗の鳥は鳩が二羽、十里の魚はゴリカジカ、天目に錦の酒は瓢箪に入れた濁酒だと事もなげに解いてみせた。下男は品を買い揃えて寺へ戻り、和尚は内心驚きながらも、よく買ってきたと珍しく下男にもふるまったという。
原典より
それは瓢箪に入れた濁酒のことなんだと和尚達はすらすらと訳も無く皆解き聞かせた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。