蛙の婆に守られた蛇の嫁
どんな伝承か
ある長者が池のほとりで蛙を呑もうとする蛇を見かね、三人の娘の一人を嫁にやるから放せと約束した。上の二人は嫌がったが、末娘は縫い針千本と水銀入りの瓢箪を用意させて嫁ぐことにした。侍姿で迎えに来た蛇に奥山の沼へ連れて行かれると、娘は瓢箪を沈めたら入ると言って投げ込み、沈めようと群がる蛇どもに針を撒いて毒気で殺した。山中で泊めてくれた婆は助けられた蛙で、娘に汚れた着物を着せて老婆の姿に変えたので、鬼にも見逃されて里へ下り、長者の家の火焚き婆として働いた。夜に書物を読む美しい姿を見た若旦那が恋煩いとなり、娘が見舞うと病は治って二人は夫婦になったという。
原典より
其時娘は縫針千本を、バラリ、バラリと水の上に撒くと、鉄の毒気が蛇の体に刺さって、それほどの多くの蛇どももみんな死んでしまつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。