三枚の札で鬼ばんばから逃げた小僧
どんな伝承か
和尚が盆の花を取ってこいと小僧を山へやり、危ないときに使えと守り札を三枚持たせた。小僧は花を探すうちに日が暮れて道を失い、明かりを頼りに婆様の家へ泊まる。抱かれて寝ていると「小僧肥えたか」と撫でるので振り返ると、鬼ばんばが寝ていた。小僧は便所へ行くと偽り、腰の綱を戸に結び、札を貼って身代わりに返事をさせて逃げ出す。追いつかれるたび、二枚目の札で大火事を、三枚目の札で大川を出して逃げ、寺へ駆け込んだ。和尚に匿われた鬼ばんばは、古井戸を覗いて中の人影を小僧と思い込み、飛び込んで死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。