井戸に埋めた金が消えた蜂屋紹佑の屋敷跡
どんな伝承か
納院町に蜂屋神社がある。祭神は少名彦命である。今から四百年ほど前、蜂屋紹佑という有名な茶人がここに住んでいた。大金持ちで、時の人は蜂屋殿と呼んでいた。紹佑は、金銭は減りやすく子に伝えにくいからと、井戸を掘り、砥石を積み重ねてその中に金を埋めておいた。曽孫の代になって蜂屋もついに貧乏になったので、井戸を掘りかえしたところ、砥石はすべて塘石となっており、金も見当たらず、家は衰えてしまったという。現在、蜂屋神社になっているところがその跡だと伝える。
原典より
今から四百年程前、蜂屋紹佑という有名な茶人が住んでいた。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。