天界の行道を走って伝えた実忠の修二会
どんな伝承か
二月堂で毎年三月に営まれる修二会では、十二日から十四日の後夜に「走りの行法」が行われる。その起こりは次のように伝わる。実忠和上が笠置の竜穴に入ると、常念観音院で天人たちが集まって修行をしていた。和上がこの行法を人の世にも伝えたいと申し出ると、天人たちは、兜率天の一日は人間界の四百年にあたり、しかも一日に千回の行道を正しくこなさねばならないので人間には無理だと諭した。それでも和上は一心に励めばできると信じ、行道を走って行うことにした。これが走りの行法の名の由来だという。
原典より
二月堂で毎年三月におこなわれる修二会の行法の中に、十二、三、四日の後夜におこなわれる「走りの行法」というのがある。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。