鷲にさらわれた子と二月堂の良弁杉
どんな伝承か
良弁僧正は近江志賀の里の生まれで、久しく子のなかった母が観音に祈って授かった子であった。二歳のとき、桑摘みに出た母に連れられていたところ、不意に鷲が来てさらい、奈良の二月堂の下の大杉まで運んで翼を休めた。そこへ来合わせた南都の名僧義渕僧正が子を助けて育て、良弁は一代の名僧となって聖武天皇の信を得、東大寺の建立に尽くした。良弁はこの杉を父母と思って毎日参ったという。母は淀川の舟の中で噂を耳にして訪ね来り、この樹の下で母子の対面を遂げたと伝える。
原典より
良弁僧正は、近江(滋賀県) 志賀の里の人である。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。