蛇に変わったチマキの禁忌
どんな伝承か
奈良市にはチマキを作らない土地が点々とあり、それぞれに由来が語られている。誓多林では、訪れた弘法大師がチマキを一つ乞うたのに、農家がこれを断った。大師が、その心根ならチマキをみな蛇に変えてやろうと言い放ち、百姓が蒸し釜の蓋を取ると、中のチマキはことごとく蛇になっていたという。以来この里ではチマキを作らない。東九条町では神が葉の先で目を突いたため、古市町では氏神が同じく目を痛めたためといい、ソラ豆も煎り豆が大師の目に当たったとして避ける。阪原町ではチマキの形をはばかって作らず、作れば蛇になるという。
原典より
奈良市のあちこちにチマキを作らない所があり、それぞれに伝説を残している。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。