熱い風呂に沢庵を放り込んだ婿
どんな伝承か
昔、ある所に少しのろまな男がいた。年ごろになって嫁をもらい、祝儀も済んで嫁の実家へ里帰りをした。里では初めて泊まりに来た婿を歓迎し、風呂を立てて一番に入れと言った。ところが湯が熱くて足も入らない。婿は「湯が熱かったらたくあんを入れてかきまわせ」と言われていたのを思い出し、近くの樽から沢庵漬けを持って来て湯に突っ込み、何本も何本も入れてかきまわした。やがて湯がぬるくなる。家の者が具合をたずねに来ると、婿は長いままの沢庵をがりがりかじりながら、とてもいい湯だと答えた。本当は熱い茶に沢庵の切れを入れよという教えだったのである。
原典より
昔、ある所に、少しのろまの男がいました。—— 富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史)
『富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話』は、富岡市が編んだ市史の民俗編のうち、民俗知識の章の末尾と口頭伝承の章を収めたものである。口頭伝承の章は、昭和四十年代以降の中学校郷土部の採話や額部地区の民俗調査、市史編さんの調査で聞き取った昔話・伝説・世間話と、富岡・甘楽方言の解説から成る。伝説は自然的・社会的・信仰的の三つに分け、羊太夫や小野小町、貫前神社にまつわる話と多くの地名起源を載せる。