砂だらけの胴を担いだ神楽打ち
どんな伝承か
むかし、ある日のこと、大原の原っぱの真ん中で神楽打ちたちが自分にできるかぎりの芸をやっていた。通りかかった人が、こんな所で何をやっているのだと尋ねると、なんだもかんだもあるものか、この家の大尽様から米一俵もらったので芸をやっているのだと言い、数人が入れ替わり立ち替わり一生懸命に演じていたという。やっとのことでやめさせ、本町の三角屋のところまで来て、神楽打ちが担いでいた胴を下ろさせて中を見たところ、砂がいっぱい入っていたということであった。大原の大吉という狐に化かされていたのである。
原典より
その1 むかし、竜田村の大谷に漢方医がおった。—— 富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史)
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説』は、福島県富岡町の町史のうち考古・民俗を扱う巻で、ここにはその第九章「昔話と伝説」が収められている。昔話の節は昭和五十八年五月の福島県教育委員会による文化財基礎調査のまとめに町の既刊の話集から数編を加えたもので、麓山の白蛇や、大原の大吉・金平六など名のある狐の話が目立つ。伝説の節には朝賀城哀話、仏浜、戊辰戦争、鉱山、北風薬師などを収め、各話に伝承者の地区と名を添える。