本物の行列に挑んだ化けくらべ
どんな伝承か
むかし、上手岡のムグロ畑に金平六という偉い狐の親分がいた。金平六はたいそう化けるのが上手で、あちこちへ出かけては化けくらべをしては勝っていたそうである。あるとき金平六は、仙台の竹駒様の狐に試合を申し込んだ。すると竹駒様の狐から、こちらは仙台様のお行列に化けて行くから待っていろと返事が来た。金平六は、よし、それではゆっくり待って試合をしようと構えていたが、なかなか来ないので、こちらを恐ろしがって来ないのだろうと思っていた。そのうち行列がやって来たので、目の前まで来たところで声をかけて出て行くと、それは本物の行列で、こらお前は誰だと侍に脅され、たまげて逃げ帰ったという。
原典より
その1 むかし、上手岡下千里に住む或る医者が、雨のしとしとと降る春の夜、往診の帰途、下千里のむぐろ畑を歩いていた。—— 富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史)
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説』は、福島県富岡町の町史のうち考古・民俗を扱う巻で、ここにはその第九章「昔話と伝説」が収められている。昔話の節は昭和五十八年五月の福島県教育委員会による文化財基礎調査のまとめに町の既刊の話集から数編を加えたもので、麓山の白蛇や、大原の大吉・金平六など名のある狐の話が目立つ。伝説の節には朝賀城哀話、仏浜、戊辰戦争、鉱山、北風薬師などを収め、各話に伝承者の地区と名を添える。