夢で狐が教えた富くじの番号
どんな伝承か
本郷富坂にあった松平京兆の中屋敷に、年を取った小人中間が住み込み、掃除などをまめに勤めていた。縁の下で子狐が生まれたのを憐れみ、食べ物を分けてやっていたところ、ある夜の夢に狐が現れ、養い育ててもらった礼だと言って、谷中感応寺の富くじの何十番を買うようにと告げた。夢など当てになるまいと札を求めずにいたが、後日その富場をのぞくと、告げられた番号が一の富になっていた。以後いっそう狐を可愛がったが、同じことは二度と起きなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
科学的教養(小泉丹・小泉丹・科学論・1948年(昭和23年))
『科学的教養』は、小泉丹が昭和二十三年に春秋社から刊行した、科学的なものの見方を説く評論である。精確さ・合理性・実証の面から科学的と非科学的の違いを論じ、河童の記録や呪いの効き目、『耳袋』の怪異談、狐憑き、幽霊・化物屋敷、人魂・鬼火・怪火を例に、日本人のものの考え方を検討する。昭和十七年に書いた前版を戦後に改稿したもので、序と起序に続く七章から成り、旧稿の終わりの二章を除いたと序に記す。