銭湯赤湯に現れた重病人の生霊
どんな伝承か
大正十年正月二十日の午後二時ごろ、青森県弘前市上瓦ケ町に住む弘前聯隊の畑大尉が、同市土手町の銭湯赤湯で入浴していると、平素懇意にしている撃剣家の老人岩崎権三郎がいた。無沙汰の挨拶を述べて背を流そうとすると、老人は厚く礼を述べ、大尉より先に湯から上がって帰った。老人を見たのは大尉だけでなく、久方ぶりに会ったという同浴者もあった。ところがこの日、岩崎老人は重病で外出のできる状態ではなく、二日後に死去した。悔やみに行った大尉が赤湯の一件を語ると家人は驚き、当日の午後二時ごろ老人がしきりに赤湯へ行きたいと言っていたことから、その生霊が入浴したのだろうと評された。
原典より
例三 貸屋を捜がした假體例四 露國の皇后の姿例五 自己の假體を見る例六 言語したといふ二重體例七 最も顕著の事實例八 『西北に舵を執れ』例九 議事場へ出席する例十 幼妹を抱いた姿第五章 交靈術と霊媒—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、心霊の本質、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じ、明治・大正の国内の見聞と欧米の報告を事例に挙げる。総説から幽霊現象まで七章からなり、各章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べる。