昼夜やまぬ城下町の天狗礫
どんな伝承か
どこからともなく石が飛んでくる怪を天狗の礫という。多くは山中での出来事だが、百万石の城下町である金沢の繁華な町なかにも現れた。『金沢古蹟志』によれば、宝暦五年三月、尾張町と今町では昼夜の別なく礫を打つことがはなはだしく、いっこうに止まなかった。人々はこれを天狗の仕業とみなしたという。同書は、その後もこうしたことがたびたび起こったと記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。