入ると迷って出られない八幡知らずの森
どんな伝承か
下総に八幡の森と呼ばれる森林があり、八幡知らずの森の名で広く知られていた。この森に入った者はたちまち迷い、出る道が分からなくなってしまうと言い伝えられている。円了はこれを、伊予今治の吹揚神社の石を持ち帰ると腹痛がする、富士山で盗みをすると報いがあるといった話と同じく、恐れる心がそうさせるもので、精神の作用であることは明白だと述べている。
原典より
下総に八幡の森と名づけた森林があり、これを八幡知らずの森と呼んで有名である。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。