死後も墓所で経を読む僧広清
どんな伝承か
『古事談』から引かれた話。昔、比叡山の千手院に広清という僧がいて、常に法華経を読誦しており、極楽に往生したことが人の夢にも現れたという。この僧が亡くなった後、その墓所では夜ごとに経を読む声が聞こえた。死んでもなお読経を怠らなかったのである。墓を改めて別の場所へ移しても、経を読む声はやまずに続いた。生前から熱心に勤めを果たしていた僧は、亡くなった後もその行を欠かさなかったのだと伝える。円了は、姿の見えない幽霊を大勢が聞いた例としてこの話を挙げている。
原典より
この僧の死後、その墓所で夜毎にお経を読む声が聞こえていた。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。