踏み殺し事件報道と立正交成会の転機
どんな伝承か
立正交成会には多くの民間信仰が流れ込んでいたが、昭和三〇年、教団の空気を変える出来事が起きる。読売新聞が「長沼妙俊の病人踏み殺し事件」と名づけた記事を連日掲げたのである。ただし報じられた中身は事実とは違っていたという。これに庭野会長が国会へ喚問される騒ぎと、創価学会からの折伏が重なった。教団はこれらを機に教理の体系を大急ぎで整え、抱え込んでいた民間信仰を整理して筋道を立て直していった。上からの改革だったため、末端の信者には知識として届くにとどまり、実際の暮らしには民間信仰が残りつづけたとも記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。