摂津堀江の網にかかった人でも魚でもない物
どんな伝承か
推古天皇二十七年の秋七月、摂津の堀江で網に奇妙なものがかかった。何かに似た形をしていたが、人でもなければ魚でもなく、人々はとうとうその名を突きとめられなかったという。日本紀や和漢三才図会に見える記録で、著者は同じ年の夏四月に近江の蒲生河に人のような形のものが現れた記事に続けて、日本の人魚出現の最も古い例の一つとしてこれを挙げている。
原典より
また同廿七年秋七月には攝州堀江で網にかかった。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。