死人の頭をくわえて内裏に入った犬
どんな伝承か
『ある公卿の日記』として著者が掲げる天暦元年の記録によると、二月四日、左近衛府の少将の詰所で飼われていた犬が、死人の頭と肩と片手をくわえて内裏に入り込んだ。このため左近衛府には三十日間の穢れの札が立てられ、内裏も七日間の穢れと定められたが、修法を行っていた御修法所の童たちはこの穢れを知らずにいたという。同じ年の七月には、内裏に死穢があるとして広瀬・龍田の祭りが延期されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・1973年(昭和48年))
『日本の妖怪』は、早川純夫が一九七三年(昭和四十八年)に著した妖怪史の読み物である。『出雲風土記』『日本書紀』から『日本霊異記』『今昔物語』、江戸の『新著聞集』などの随筆までの古典に記された妖異を、かかわりのある実在の人物や事件とともに古代から近世へ時代順にたどる。全八章で、引用は意訳を交えて『』でくくり、仏教談や霊験談、地方の民話はおおむね除き、第七章には江戸の見聞録から選んだ二十話を並べる。