三つの丘に鎮まる死者の霊
どんな伝承か
肉体を離れたばかりのたましいは穢れに染まっており、何年か経たなければそれは消えない。穢れの消えぬたましいは先祖の仲間に入ることができず、村の近くの特定の場所に集まって清まるのを待つと考えられていた。山形県の庄内地方では死霊の集まるところを森の山と呼び、数か所にある。鶴岡市清水の森の山はその代表的なもので、平野部に突き出た低く小さな丘にすぎないが、その形は駱駝の瘤に似た三つの丘からなり、相当離れたところからも一目でそれと知れる。登れば庄内三郡を残らず見渡すことができる。遺骸は墓地に残るが、たましいは森の山に鎮まるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。