約束を破った長者にかかった六部の呪い
どんな伝承か
岐阜の丹生川村で村一番の身代を持つ家の一人娘が重い病にかかり、どんな医薬も効かなかった。旅の六部に拝んでもらうと、全国を三巡りして願掛けをすれば治るとのお告げで、長者は金に糸目はつけないとこれを頼んだ。半年ほどして六部が巡り終えて戻ったころには娘はほぼ快方に向かっていたため、惜しくなった長者は約束を破って金を渡さなかった。怒った六部は二年のうちに屋敷を草原にしてやると呪って去り、翌年から不幸が続いて主人ひとりを残し家族は死に絶え、山も屋敷も人手に渡った。生き残った主人はその後身を粉にして働き、身代を取り戻したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。