宿直室に出る老人姿の座敷わらし
どんな伝承か
下閉伊郡の小川村では、村役場に使われていた建物にわらしが出ると語られた。もとは造り酒屋の家で、酒屋が傾いたのちに役場が譲り受けたものだから、光の入らない部屋が多かった。なかでも宿直にあてられた一室は建物の真ん中にあって窓がなく、昼でも真っ暗だったという。そこで横になっていると、蒲団の上から何者かに押さえつけられることがあった。ここに出るものは子どもの姿ではなく、背丈三尺ほど、丸顔で少し前かがみになり、ちょこちょこと歩く老人の姿をしていたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。