灰の縄を綯って姥捨てを止めた知恵
どんな伝承か
六十を過ぎた者は山奥へ捨てよという地頭の触れが出ていた村で、孝行な息子が婆を縁の下にかくまっていたが見つかり、泣く泣く背負って奥山へ捨てた。帰り道が分からなくなったが、背負われながら婆が折っておいた小枝のしおりに導かれて家に着いた。やがて灰で縄を綯って差し出せばどんな願いも聞くという触れが回り、息子が山の婆に尋ねると、縄を綯って鉄板の上で蒸し焼きにせよと教えられた。献上を見た地頭は年寄りの知恵に感じ入り、姥捨てを取りやめたという。
原典より
ある貧乏な村では地頭様が「六〇歳以上の人は米ばかり食って、ろくな働きはできねぇから、山の奥さ捨てちまえ」ということで、その村では六〇歳になると、爺さんも婆さんも山さ投げ捨てらっちぇ、どこの家でも老人は一人もいないわけだ。—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。